白梅学園高等学校

SCHOOL INFORMATION

卒業式(3)校長式辞

第五十八回卒業式式辞

 

 三年生のみなさん、御卒業おめでとうございます。

今から三年前、緊張した面持ちで臨んだ入学式。高等学校での学びや新たな人間関係を築くことへの期待と不安が入り混じっていたことでしょう。あれから早三年、月日の経つ早さを痛感している人も多いのではないでしょうか。一、二年生の時には、まだ学校生活が新型コロナウイルス感染症の影響下にありました。オンライン授業を実施し、部活動を制限せざる得ない期間もありました。体育祭は縮小して半日での実施とし、合唱コンクールも開催できませんでした。それでも何とか二年生の秋に修学旅行を実施することができ、現地でしか体験できない学びの機会を得て、友達との心打ち解けた時間を過ごすことができたのはありがたいことでした。三年生になって、体育祭は一日かけての実施へと戻し、三年生の保護者の皆様に公開することもできました。四年振りに開催された合唱コンクールでは、みなさんにとって初めての行事であるにも関わらず、圧倒的な表現力とハーモニーで他学年を圧倒し、三年生として成長した姿を見せてくれました。飲食物の扱いが解禁となった最後の白梅祭では、みなさん自身もそして訪れた人たちも笑顔を見せて楽しみながら一日を過ごすことができました。

振り返ってみれば、私はみなさんが入学する数日前に本校に着任しました。授業において「生徒間の対話」の場面を創って「考える力」と「表現する力」を高めていくことを先生方にお願いしました。それに対して、みなさんはすぐに順応してくれました。どの教室へ行っても積極的に自分の考えを伝え、相手の考えを受け止めて嬉々として話し合うみなさんの姿を、私は頼もしく感じていました。そうした友との学びを大切にしつつ、三年生の秋には、進路実現に向けてお互いに切磋琢磨する姿が随所に見られました。友達同士で面接練習をする姿、カウンター席で問題集に取り組む姿、過去問に取り組み先生に個別質問する姿、さらには校長室を訪れ、即興で面接練習をした人も複数いました。大学入学共通テストが終わって二次試験に向けての勉強をしているその姿に声をかけると「ここへきてだいぶ解けるようになったのです」と笑顔を見せて言葉を返してくれた人もいました。  

人が生きていく上でどういう環境に身を置くかということは、極めて重要なことです。心を許し合い、互いに高め合っていく友がいるか、率直に相談できる、そしてしっかりと見守ってくれる大人がいるか、といったことです。白梅学園にはそうした環境が備わっていたのではないかと自負しています。みなさんを中心に据えて、支えてくださった保護者の皆様、常に応援してくださった同窓会や後援会の皆様、さまざまに関わってくださった関係者の皆様。そして、寄り添い、向き合った教職員。

それらの総合力が高まってみなさんの成長が成し遂げられたのです。

しかし、すべてが順風満帆ではなかったはずです。人との関係に思い悩んだこともあったことでしょう。自らのあるべき姿と現実の姿との乖離に、希望を見出せなかった時期もあったかもしれません。大人になっていくプロセスである青年期には、乗り越えるべき特有の課題があって当然なのです。それでも、自分を信じて、信頼できる友や大人に支えられて人として成長することができたのではないでしょうか。

これからはそれぞれが選択した進路において、自立を目指すことが大きなテーマとなります。換言すれば、自分の力で走り続けることが求められます。みなさんは、様々な科目の学習を通して教養の土台を培いました。それと共に、学校行事や部活動、生徒会活動・委員会活動などを通して、他を思いやる心、困難を乗り越えていく意思、リーダーシップやフォローワーシップなど、生きていく上で大切な素養は身に付けてくれました。これからは自分の選んだ分野で専門性を高め、ゼロからイチを生み出していく創造力を培っていくことが大切になります。また、自分の考えと異なる多様な人々と対話をしながら課題解決策を見出していく力も求められます。そこへ到達する礎は、白梅学園で育んだはずです。どうか堂々と胸を張ってこれからのあなた自身の道を歩んでいってください。みなさんのこれからの人生が幸福に満ちたものとなりますように、また輝く女性として活躍されることを心から願っています。ひとまず、さようなら。

遅くなりましたが、本日ここに第五十八回卒業式を挙行するにあたり、御来賓の皆様にご臨席を賜り、お祝いいただきますことは本校にとってこの上ない喜びとするところです。このような席からではございますが、学校を代表して御礼申し上げます。

保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまで本校の教育活動に御理解と御協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。また、雨の日も風の日も学校と手を携えて、お子様の自立へ向けた歩みを支えてくださいました。どんなときにもお子様を信じて、支え続けてくださったからこそ、こうして大きく成長したお子様の今があるはずです。本当にありがとうございました。この先、お子様が自らの夢の実現に向けて逞しく歩みを進めていく礎は、本校の三年間の生活の中で培ってくれたものと信じております。保護者の皆様には、これからも白梅学園の応援団として、本校の発展を見守ってくださいますようお願い申し上げます。

結びに、関係各位の本校卒業生に対する多大なる御支援に感謝申し上げ、式辞といたします。

 

令和六年三月五日

                     白梅学園高等学校長  武内 彰

 

 

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