白梅学園高等学校

SCHOOL INFORMATION

第21回SFP(22世紀しらうめフロンティアプロジェクト)

白梅では、学年に関係なく興味に応じて参加できる「SFP(22世紀しらうめフロンティアプロジェクト)」という講座を実施しております。2学期最初の第21回SFPは、『学ぶってなんだろう?~ChatGPTが私たちに与えた課題~』をテーマに、京都大学名誉教授の西川伸一先生にご講演をいただきました。西川先生はこれまでに何度も貴重なお話を頂戴しております。今回はコンピュータ技術の発展に伴い、大きく変わった世界を生きることになる生徒たちに考えてほしいテーマとして選んでくださいました。

 

講話の前半では石器の進化を皮切りに「学習」そのものの歴史の概要を教えていただきました。言葉を獲得することで学習能力が高まり、文字が誕生することで学習できる量が増え、文化の拡大や継承に繋がっていきました。次第に科学技術が発達し、車のように人間の機能拡大の役割を果たす道具が進化していき、最後に拡大が始まったのが頭脳の機能の役割を果たすコンピュータです。19世紀ごろになりアルゴリズムと情報の概念が形成されていき、人工知能の発展に結びつきました。人工知能により人間の学習の必要性について議論されていく中、大規模言語モデル(LLM)が開発されました。ChatGPTはこのLLMをもとに自然な文章を返すことができるサービスです。

 

講話の後半ではChatGPTを実際に用いた白梅学園についての応答例などを踏まえてその可能性を見ていきました。ChatGPTはLLMによって学習していないことには答えられないこと、何でも知っている神様のような使い方はできないということを学びました。その一方で今までは専門家でないとアプローチできなかったような知識を誰でも使えるようになるなどの前向きな可能性も考えられます。これらのことから、ChatGPTは言わば人類が長い歴史の中で手に入れた「道具としての知性」であり、知識を知ることそのものが教育の目的ではなくなる未来がやってくるため、共に何を目指していくべきかを教員も生徒も一緒に考えていくのが今後の課題になるだろうと強調されていました。

 

難しい内容ではありましたが、時折ご冗談を交えつつ、和やかな雰囲気での素敵なご講話でした。生徒にとっても良い刺激となりました。今回もありがとうございました。

 

《生徒の感想:一部》

・「人間のできること」がAIに取って代わられ自分の存在意義が失われるのが怖くて抵抗したくて受講した。AIは突如現れた人間を凌駕し機能を縮小させるものだと勝手に決めつけてしまっていたけれど、人類が歩んできた道具の歴史と繋がっていて、人類の未来を拡げてくれる大きな可能性を持ったものだとわかった。少しAIと仲良くなれそう。

・私たちは、AIを使いながらも学習を欠かさず並行して行っていき、AIには身につけることのできないような力を養っていかなければならないと感じた。AIに頼りっきりな生活にならないようにするためには、人間とAIそれぞれの長所と短所について知り、AIに任せる場合には、脳の劣化を防ぐためにもよく考えてから使うようにして、上手にバランス良く付き合っていくことが大切だと考えた。

・自分で考える必要が完全になくなったのではなく、正誤、善悪を判別するための思考がより必要になったのかなと感じた。(物事を鵜呑みにしない)また、それは今までの思考よりも高度であるように感じた。 自分を磨き続けないと衰えていくというお話はとても興味深かったとともに、危機感を感じた。無意識に頼ってしまっていると気づいたからだ。

・講話の最後にあったように、LLMを前提に新しい時代の学習とは何かを考えていきたい。これから探究で論文を書いていく時に何かヒントになりそうな感じがするので、せっかくのこの機会を無駄にせず、思考を止めず、これからの探究活動をもっと良いものにできたらと思う。

 

 

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