白梅学園高等学校

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第57回卒業式(その3):学校長式辞

第五十七回卒業式式辞

 

 三年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。

今から三年前、四月の入学式は挙行できず、同期の友達とも会えず、不安な日々を過ごしたことでしょう。ようやく二か月が経過して、登校開始となりました。学校行事や部活動のありようも、新型コロナウイルス感染拡大防止のために非日常的対応を取らざるを得ませんでした。二年生になっても、感染拡大に伴ってオンライン授業への切り替え、修学旅行の中止、部活動の制限など、みなさんには不自由な想いをさせてしまいました。そのような中でも、通常授業においては、先生からの投げかけに対して、友達同士できちんと意見交換をして、それを表現する、「生徒間の対話」がどのクラスを見ても自然に行われていました。私は、そうしたみなさんの姿を目の当たりにして、頼もしく感じていました。

 三年生になり、みなさんにとって二度目の体育祭。

そこには各種目で持てる力を存分に発揮するみなさんの姿がありました。自ら出場する競技を全力で楽しむとともに、仲間たちに惜しみない声援が送られました。白梅での生活の中でお互いに温かな人間関係を築いてきてくれた、そのことが強く感じられ、私も心の中で声援を送りました。

 九月の白梅祭。一般公開は実現できませんでしたが、保護者の皆様や本校を志望する中学生・その保護者の皆様にご来校いただくことができました。どのクラスも一年前よりも着実に前進した取組を見せてくれました。校長室まで勧誘に来てくれたクラスもあり、力の入れ方が伝わってきたものでした。部活動においても、ただ受け身になってこなしていくのではなく、自分たちで考え、技術・技能を高めていくようになりました。周囲の友達への配慮を忘れることなく、高みを目指していく姿を私は見守っていました。

秋から冬にかけて進路実現に向けての取組が本格化しました。放課後に校内を巡回すると先生に面接練習をしてもらっている姿、あるいは友達同士で練習する姿が散見されました。また、教室をはじめ、多目的ホールや自習室、カウンターで黙々と自習に取り組む姿も見られました。私はその背中に「最後まであきらめずに頑張れ」と心の中で声をかけたものです。

 そうして今、みなさんは旅立ちの時を迎えました。

多感な青年期を生きるということは、決して平易なことではありません。理想とする姿と現実の姿との乖離に悩むこともあるでしょう。また自らの努力が正しく報われない歯がゆさにさいなまされそうになることもあるでしょう。しかし、みなさんは高校を卒業する今日からあなた自身の自立に向かう歩みを加速させていく時を迎えたのです。今までは常に周囲の大人が寄り添って躓かせないように支えてくれたかもしれません。これからは自らの力を信じて、人生の決断をし、自立した大人を目指していくのです。

 これからそれぞれの進路に進みますが、自分の選んだ専門分野において、高い専門性を身に付けていってください。これまでの社会では、より多くの知識を蓄え、それをアウトプットしながら効率的に仕事をこなすことが重視されて来ました。しかし、これからのsociety5.0といわれる、みなさんが生きる時代は、AIの果たす役割が大きくなります。私たち人間は、高い専門性を礎にして、AIなどを活用しながら、人間の脳にしかできない思考を駆使して、日常生活から地球的規模の課題解決にいたるまで、ゼロからイチを生み出していく創造性を発揮していくことが求められるのです。また、白梅でのみなさん同士のつながり・連帯と同様に、多様な世界の人々と協力・連携していくことになるでしょう。自らの文化・価値観とは異なる人々とチームを組んで協働していくなかで、何か成果を上げていくためには、二つのことが必要だと考えます。一つは、自らの考えや意見を臆することなく主張できる強さです。もう一つは、日本人ならではの和を大切にする精神を発揮して全体を目配りできる視野をもつことです。そういう人が、グローバル社会の中で活躍していくことになるでしょう。みなさんがこの先の人生において、自らの資質・能力を発揮することによって、自分自身の幸福を追求するとともに、それらを社会貢献のためにも使ってください。

三年生のみなさん、みなさんのますますの御活躍を心から願っています。

保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまで本校の教育活動に御理解と御協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。また、雨の日も風の日も学校と手を携えて、お子様の自立へ向けた歩みを支えてくださいましたことに重ねて御礼申し上げます。保護者の皆様には、この先もう少しお子様の取組を支えていただく必要があるかもしれません。しかしながら、お子様が自らの夢の実現に向けて逞しく歩みを進めていく礎は、本校の三年間の生活の中で培ってくれたものと信じております。保護者の皆様には、これからも白梅学園の応援団として、本校の発展を見守っていただけると幸いです。

結びに、関係各位の本校卒業生に対する多大なる御支援に感謝申し上げ、式辞といたします。

令和五年三月五日

 

                                白梅学園高等学校長  武内 彰

 

 

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